分子モーターを用いたスピン偏極素子
キラルな分子に電流を通じるとスピン偏極が生じる、Chirality-Induced Spin Selectivity (CISS)という効果が知られるようになってきました。スピン偏極は、時間反転対称性と空間反転対称性の両方が破れていないと生じないと考えられますが、CISS効果では、空間反転対称性が分子構造で破れているため、電流による散逸で時間反転対称性を破ってやることにより、磁石がなくてもスピン偏極が生じるのではないかと考えられています。最近我々は、このようなCISSとキラルな分子モーターを組み合わせることによって、光や熱でスピン偏極をスイッチする素子を開発することに成功しました。
- Masayuki Suda, Yuranan Thathong, Vinich Promarak, Hirotaka Kojima, Masakazu Nakamura, Takafumi Shiraogawa, Masahiro Ehara and Hiroshi. M. Yamamoto, “Light-driven Molecular Switch for Reconfigurable Spin Filters”,
Nature Commun., 10, 2455 (2019).